ランドセルって、値段が高いイメージがありますよね。
では実際のランドセルの相場は、いくらくらいでしょうか?
調べてみると、ランドセルの価格相場が分かる良いデータを見つけました。
「ランドセル工業会(一般社団法人 日本かばん協会)」が、ランドセル購入者1,500名を対象に行った購入金額についてのアンケートです。
そのデータを紹介しますね。
ランドセルの価格相場
ランドセル工業会調べによる過去3年間の購入金額帯の構成比は下記になります。
【購入したランドセル価格帯の割合い】
価格帯 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|
24,999円以下 | 6.5% | 6.6% | 6.3% |
25,000円~39,999円 | 12.9% | 12.1% | 12.8% |
40,000円~54,999円 | 18.0% | 24.0% | 29.0% |
55,000円~64,999円 | 24.8% | 24.7% | 22.8% |
65,000円以上 | 30.4% | 27.8% | 22.3% |
わからない | 7.3% | 5.0% | 6.8% |
全体の平均価格 | 56,425円 | 55,339円 | 53,600円 |
2022年4月入学の方が購入したランドセルの平均価格は
【56,425円】
でした。
平均相場の推移は、過去4年で
- 2018年:51,300円
- 2019年:52,300円(前年比+1,000円)
- 2020年:53,600円(前年比+1,300円)
- 2021年:55,339円(前年比+2,099円)
- 2022年:56,425円(前年比+1,086円)
となっていて、年々高くなっているうえに上昇幅も大きくなっています。
また2022年4月入学モデルでは、65,000円以上の価格帯を購入した方が最も多くなり30%以上となりました
2020年は「40,000円~54,999円」が一番売れている価格帯でしたが、今は1万円以上も高くなりました。
ちなみに価格相場が高くなっている傾向は、フィットちゃんランドセルでも同じです。
フィットちゃんランドセルの価格相場推移
フィットちゃんランドセルでは、前年度の販売実績より平均購入価格を公表しています。
1位 | 2位 | 3位 | |
---|---|---|---|
2015年 | 3万円台 | 4万円台 | 5万円台 |
2016年 | 4万円台 | 3万円台 | 5万円台 |
2020年 | 5万円前後 | 6万円前後 | 4万円前後 |
2021年 | 5万円前後 | 6万円前後 | 4万円前後 |
2015年には価格相場は3万円台だったのが、2020年は5万円前後まで上がっています。
フィットちゃんの場合は、
- 安全性を高める「安ピカッ」対応
- A4フラットファイル対応の大容量化
など機能面の充実もあって、商品単価が高くなっています。
フィットちゃんだけでなく、他のランドセルメーカもランドセルの平均相場は高くなっています。
どのような理由があるのか調べてみました。
天使のはね 価格相場
【調査概要】
調査期間:2020年8月
調査対象:2021年4月に小学校へ入学されるお子さまをお持ちの方(n=1660)
調査方法:セイバン「天使のはね」によるインターネット調査
価格帯 | 構成比 |
---|---|
3万円未満 | 5% |
3万円台 | 4% |
4万円台 | 19% |
5万円台 | 32% |
6万円台 | 22% |
7万円以上 | 17% |
わからない | 1% |
5万円台が32%とダントツの1位で、5万円~7万円の価格帯で54%と半数以上の割合となっています。
5万円台・6万円台の価格帯のランドセルを選ぶ方が二人に一人と、想像以上に多くの方が選ばれています。
ランドセル価格相場-上昇傾向の理由とは
少子化と孫消費による高くても売れる現象
価格相場が高くなっている理由として、一番に挙げられるのがこの理由です。
少子化により子供の人数が減っていて、一人の孫に祖父母が使える金額が増加しているということです。
確かに
「祖父母に購入してもらえるので、金額を気にせずに欲しいランドセルを購入した」
という方も多いです。
フィットちゃんランドセル調べでは、購入の6割が祖父母からのプレゼントという調査結果となっています。
祖父母に買ってもらえるならと、
「牛革やコードバンなどの高額アイテム」
を選ぶ人が増えれば価格相場は上がります。
ランドセル材料費の高騰って本当?
ランドセルの値段が高くなった理由として、「材料費の高騰」というのを見かけます。
材料費って一般消費者にはなかなか分かりにくいのですが、ニュースをみれば材料費の現状を知ることができます。
まずは材料として大きな部分を占める「皮革素材」について調べてみました。
★人工皮革クラリーノは10年ぶりに値上げ
クラレは人工皮革「クラリーノ」の価格を、2021年4月1日出荷分から10%~25%引き上げました。
値上げは2011年以来、10年ぶりとなります。
生産プラントの維持・更新や安全対策などのコスト上昇が、値上げの理由です。
*日経新聞2021年3月26日より
人工皮革で一番多く使われているクラリーノは値上がりしましたが、2021年4月出荷分からなので2022年モデルへの影響はほぼありません。
早ければ2023年モデル以降で、価格に影響する可能性はあります。
★牛革は値下げ傾向
牛革製品全般に言えるのですが、「若者の革離れ」と「人工皮革の品質向上」によって世界的に需要が落ち込んでいます。
需要と供給のバランスが崩れて、原材料となる牛原革は世界的に供給過多の状態です。
日本国内でも深刻な状況で、牛原革の価格は急落しています。
東京市場原皮価格の推移
2019年1月:1,000円/1枚
2019年7月:700円/1枚
2020年3月:500円/1枚
2020年6月:100円/1枚
2021年5月:10円/1枚
*JA全農ミートフーズ株式会社2021年8月副産物相場
★皮革素材の材料費まとめ
革素材の原材料のコスト推移については、
- クラリーノは値上げ
- 牛革は値下げ
の傾向にあることが分かりました。
牛革ランドセルは、素材価格下落の影響もあってか、5万円台の商品も登場し価格帯が少し安くなりつつあります。
クラリーノ製のランドセルは現時点では、価格高騰の影響は出ていません。
この状況を踏まえると、今の時点では
「材料費の価格変動が、商品価格を上げている要因」
としての影響は少ないと思われます。
大容量化&豊富なデザインによる材料費の高騰
A4フラットファイル対応サイズが一般的になってきたうえに、今年はさらに大容量のタイプが登場しています。
容量が大きくなれば、
- 皮革の使用量が増える
- 強度の補強が必要
- 装飾や刺繍の量も増える
と、材料費も増えてしまいます。
大型化とともに装飾や刺繍などでデザインを豊富にしていることも、材料費アップの要因となっています。
客単価をアップさせたいメーカーの思惑
これは完全に推測の域をでないという前提でお読みください。
少子化による販売数減少を補うために、ランドセルメーカーは客単価アップを進めています。
新機能や大容量化・デザイン化によって、今までにない付加価値を加えて商品単価のアップを図っています。
ランドセル業界も生き残りをかけて、さまざまなマーケティングを仕掛けています。
値段と機能のバランスが取れた、顧客満足度の高い商品の販売を願います。
各ランドセルメーカーの価格帯はどうなってる?
価格帯としては、4万円台~6万円台のランドセルを購入した方が多くなっています。
その傾向を踏まえて、ランドセルメーカーもこの価格帯のアイテム数を多く販売しています。
人気ランドセルメーカーの価格帯別アイテム数をまとめましたので、見てみましょう。
【2022年モデル】人気ランドセルブランドの価格別アイテム数(男女合計)
価格帯 | フィットちゃん | イオンかるすぽ | 天使のはね | ふわりぃ | 合計数 |
---|---|---|---|---|---|
3万円台 | 0 | 3 | 0 | 1 | 4 |
4万円台 | 5 | 2 | 3 | 1 | 11 |
5万円台 | 30 | 2 | 2 | 6 | 40 |
6万円台 | 13 | 13 | 25 | 6 | 47 |
7万円台 | 5 | 7 | 10 | 0 | 22 |
8万円台 | 1 | 0 | 5 | 0 | 6 |
9万円以上 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 |
価格帯だと5万円台と6万円台のアイテム数が、圧倒的に多くなっています。
それだけ売れる価格帯なので、各社多くのアイテムを投入しています。
フィットちゃんは5万円台、天使のはねは6万円台をメインに価格展開しています。
ふわりぃは5万円台&6万円台をバランス良く揃えていますが、3万円~4万円台のアイテムは減っています。
「イオンかるすぽ」は6万円台をメインに幅広い価格帯をカバーし、7万円台のアイテムを増やしています。
ただ、工房系ランドセルに限ると、販売価格帯はグッとあがります。
【2022年モデル】工房系ランドセルの価格別アイテム数(男女合計)
価格帯 | 土屋鞄 | 鞄工房山本 | カバンのフジタ | 黒川鞄工房 | 合計数 |
---|---|---|---|---|---|
4万円台 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
5万円台 | 0 | 5 | 4 | 1 | 11 |
6万円台 | 3 | 7 | 11 | 1 | 22 |
7万円台 | 5 | 5 | 6 | 5 | 21 |
8万円台 | 2 | 0 | 0 | 5 | 7 |
9万円台 | 0 | 3 | 2 | 0 | 5 |
10万円以上 | 6 | 2 | 0 | 6 | 12 |
工房系ランドセルでは、6万円~7万円台の価格帯が多くなっています。
また、10万円以上の高価格帯アイテムが多いのも特徴です。
工房系ランドセルといえば、牛革やコードバンなど自然皮革素材のランドセルが人気です。
そのため高額品のアイテム数が多い構成となるのですが、最近では6万円台の牛革ランドセルが増えてきました。
そのため鞄工房山本やカバンのフジタなどは、6万円台のアイテムが多くなっています。
このようにランドセルの価格差は、
【素材】の違い
が最も大きな理由となります。
ランドセルの素材には、
- 人工皮革:クラリーノ、コードレ、ベルバイオ5など
- 天然皮革:牛革、コードバン、ヌメ革
があります。
ランドセルの素材についての詳細はコチラから>>ランドセルの素材について
人工皮革についての詳細はコチラから>>人工皮革の機能比較「クラリーノ・タフガード・アンジュエール・コードレ・ベルバイオ」
ランドセルの素材で価格は違う
人工皮革のランドセルは、「軽い・水に強い・型崩れしない」という特徴があります。
お値段もお手頃なことから、5万円以下のランドセルはほとんどが人工皮革で作られています。
日々のお手入れもほぼ必要なく耐水性も高いので、人工皮革のランドセルを選ぶ方が多いです。
一方、自然素材のランドセルは、「高級感・丈夫・傷に強い」などのメリットがあります。
ただ生産できる量が少ないため、「牛革:6万円以上、コードバン:8万円以上」する高額品となります。
今までは水に弱いという弱点がありましたが、最近は撥水加工されて耐水性も一段と向上しています。
ただ良い品質を保つためには、継続してお手入れを行うことが推奨されています。
お手入れが面倒な方には、あまり向いていないかもしれません。
クラリーノ素材はカラーバリエーションが豊富
クラリーノ素材はカラーバリエーションが豊富で、特に女の子が喜ぶカラー&デザインが多数販売されています。
4万円~6万円の価格帯の商品ラインアップが一番多いのは、クラリーノ素材を使ってカラー&デザインが豊富に展開できるからです。
例えばフィットちゃんならこんな感じです。
フィットちゃんランドセル
(女の子向けランドセル)
【4万円台のランドセル】
【5万円台のランドセル】
(男の向けランドセル)
【5万円台のランドセル】
5万円台の種類が多いふわりぃランドセルでは、こんなデザインのランドセルがあります。
ふわりぃランドセル
(女の子向けランドセル)
【5万円台のランドセル】
(男の向けランドセル)
【5万円台のランドセル】
このようにランドセルの売れ筋価格相場は「5万円~6万円」で、各ランドセルブランド共に多くのラインアップを展開しています。
選ぶ楽しみもあって、品質的にも安心して購入できる価格帯のランドセルと言えます。
ランドセル価格相場「5万円~6万円」のアイテム数が多いランドセルメーカーは下記になります。